※2023/04/30に完結いたしました
ランベルジュ王国には天災から国を守護する〈黄金花〉という花があった。
それは全部が黄金色で輝くバラの花であり、その〈黄金花〉を咲かせた貴族令嬢はどんな爵位の家柄も関係なく〈護国姫〉という聖女の称号が与えられる。
男爵家の令嬢であったルイス・ノートンは、まさしくその〈黄金花〉を咲かせることに成功した類まれなる魔力の才能の持ち主で、先代国王が急死したことで若き国王となったキース・ランベルジュとの婚約が決まっていた。
だが、その婚約は他国の貴人たちも呼んだ〈護国姫〉のお披露目パーティーの際に破られることになる。
「ルイス・ノートン。以前から決まっていた貴様と余の婚約は、ランベルジュ王国の国王たるこのキース・ランベルジュの名のもとに破棄する。理由は言わなくてもわかるな?」
そんな言葉とともに、ルイスはキースから婚約を一方的に破棄されてしまう。
そしてキースはあろうことか〈黄金花〉には遠く及ばない〈純銀花〉を咲かせた公爵家の令嬢――アンナ・ファイソンと婚約すると公衆の面前で告げたのだ。
理由はルイスが咲かせたのは〈純銀花〉のほうであり、実はアンナのほうが咲かせていた〈黄金花〉を勝手に取り替えて自分は本物の聖女と偽ったからだという。
ルイスは否定したが、キースは聞く耳を持たずルイスを国外追放処分にするとも言った。
そしてルイスはこの状況がどう足掻いても覆らないと悟ると、最後に自分は本物の聖女だったと証明するために貴人たち全員に特殊な治癒魔法をかけた。
やがてルイスは毅然とした態度で王宮から出ると、身なりが立派な黒髪の男性に声をかけられた。
男性の名前はアルト・カーマイン。
隣国であるカーマイン帝国の皇太子であり、ルイスの治癒魔法で地獄のような持病が治ったことに感激して一目惚れしてしまったという。
同時にアルトは、ルイスを自分の妻として自国へ迎え入れたいと申し出る。
一方の本物の聖女であるルイスを失ったランベルジュ王国には、国の象徴でもある〈黄金花〉が枯れてしまったことで天災が怒涛の如く押し寄せる。
これは隣国の皇太子に見初められたルイスが本物の愛を手に入れ、逆にそのルイスを罠にはめて国外追放にしたキースたちが壮絶な最後を迎える物語――。
レビュー