お兄さまの無自覚な溺愛

著者:染井由乃

聖女の座を奪ってしまって、ごめんなさいね? エマさま」
「ルナの祈り」という特別な力に恵まれ、聖女の最有力候補として聖女教育に励んできた公爵令嬢のエマは、一年前に突如として現れた聖女候補のイザベラに聖女の座も王太子の婚約者の座も奪われてしまう。憐れみや好奇の目に晒されながら神殿を後にするも、厳しい聖女の戒律から解き放たれたことにこっそりと歓喜する。
「やった……! これで私は自由よ! お兄さまのそばにいられるわ!」
 王太子との婚約も白紙に戻り、正々堂々と「お兄さま」に恋ができることを喜ぶエマ。
 だが、エマの義兄であるアシェルは、エマを溺愛し求婚まがいの言葉も並べ立てるにもかかわらず、エマを完全に妹扱いしていた。
「こうなったら、お兄さまに女性として意識してもらうように頑張るわ!」
 晴れて自由の身となったエマは、義兄とともに旅に出て、長年の片思いを実らせる努力を始める。その傍ら「ルナの祈り」を使い、旅先で人助けをし、その噂は遠く王都まで知れ渡っていった。
 一方で、聖女の業務をおろそかにするイザベラには批判が集まり「聖女にはふさわしくない」と悪評ばかりが高まっていく。ついには聖女選定の儀に不正の疑惑がかけられ、神官たちは神殿を去ったエマを探し始めて――?

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