通りすがりの男爵令嬢です。婚約破棄宣言に巻き込まれたので、公爵令息の彼女を演じることにしました。

入学したての学院の裏庭にて、公爵子息が侯爵令嬢へ婚約破棄を告げる場面にうっかり遭遇してしまった、田舎から出てきたばかりの男爵令嬢エイミー。
他に想い人ができたのだろうと令嬢に糾弾された男は、あろうことか、たまたまその場にいたエイミーを、その相手だと宣言した。
あとで理由を聞いたところ、侯爵令嬢を夜会で見初めたという第二王子殿下に頼まれ、こんな状況に陥っているらしい。
白銀の髪に赤い瞳という奇異な容姿のせいで人から距離を置かれている公爵令息クレフティスは、未来の公爵夫人というステータスのためだけに婚約を望んでいる侯爵令嬢に未練はなく、婚約を解消できることに安堵していた。

巻き込んですまないと謝罪する、温厚でおとなしいクレフティスを見て、エイミーは決意する。
よろしい、ならば協力しましょう。
婚約破棄にかかわる不貞の相手は「男爵令嬢」と相場が決まっています!

かくしてロマンス小説愛好家のエイミーが、「みんなが楽しい婚約破棄物語」を目指して奮闘しつつ、孤独なクレフティスと仲良くなっていく、偽りの彼女が本物になるありがちな物語。

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