異世界に悪役令嬢として召喚されたんだけど、悪役令嬢として召喚ってどういうこと???

著者:間咲正樹

「ハァ……」

 クソデカ溜め息を吐きながら、今日も一人会社へと向かう。
 嗚呼、また月曜日が始まってしまった……。
 なんで土日ってあんなに一瞬で過ぎ去ってしまうのだろう?
 平日は体感十日くらいあるのに、土日は体感十二時間だ。
 絶対に悪戯好きの妖精が時空を歪めてると思う……。

「ん?」

 その時だった。
 突如足元に魔法陣のようなものが浮かび上がり、それは眩いばかりの光を発した――。
 えっ???

「おお! 成功だ! 悪役令嬢様が我が世界に降臨なされたぞ!」
「…………は?」

 光が収まると、私はRPGとかによくある神殿の中みたいな場所に立っていた。
 目の前にはやたらテンションの高い、神官服を着たハゲのオッサンが歓喜している。
 こ、これは――!?

「え? なんのドッキリですかこれ? 私、これから出社しなくちゃいけないんで、こういうのはご遠慮したいんですけど……」

 私はハッサン(※ハゲのオッサンの略)に、おずおずと声を掛ける。

「おお、これはこれは申し遅れました。私は神官長のハッサンと申します」

 奇跡が起きたわ。

「残念ながらこれはドッキリなどではございません。あなた様はこの世界の救世主となっていただくため、悪役令嬢として召喚されたのです」
「……はぁ」

 つまりこれは小説とかでよくある、異世界召喚ってこと?
 ……いや、でも、聖女として召喚とかならまだわかるけど、悪役令嬢として召喚ってのはどういうこと???

※高取和生様主宰『眼鏡ラブ企画』参加作品です。

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