~新しい人生をありがとう~ 嫌いだった妹へ

私は生家の侯爵家を追い出され、乗り合い馬車で隣国に行く途中である。

「ああ、良い天気。空が青いわ」

ゴトゴトと揺れる馬車に、子供連れのご婦人はお尻が痛いと呟くが、子供は景色を見ながら元気いっぱいに歌っている。

それを見る私も、初めての乗り合い馬車の振動に驚いているが、気持ちはスッキリしている為か楽しんでいる。風も暖かく頬を撫でる。

ハチキナ侯爵邸の物置部屋で、使用人に混じって掃除をしていた時とは雲泥の差である。たくさんの使用人もいるのに、私にもそれを強いていたのだ。

「お義姉さま、まだ此処の床汚れてましてよ。これじゃあ夕食をあげられないわよ」

態とバケツを蹴飛ばして、掃除後を汚す義妹のギルモア。

「本当屑ねえ。チャチャと遣ってちょうだい。旦那様が戻るわよ!」

見ていた癖に嫌みを言う義母ユネジュー。

私の名前は、サフラン・ハチキナ。

母が亡くなってから、父の愛人家族が侯爵家に乗り込んできた。

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