女商人は、倍給傭兵にだけ夜を売る

「酒だよ~酒はいらんかね~」

とある戦場から少し離れた場所に設置された宿営地で、女商人の声が響く。
酒保商人。兵站という概念が生まれていなかった時代の、戦に動員された兵士や傭兵向けに食料や酒などの嗜好品も販売する商人達だ。
その一人、女酒保商人のエッダは、酒や甘味などの嗜好品を売るのを生業としている。
男ばかりの場所で女の商人となれば夜を求められることもあるのだが、彼女は頑として首を縦に振らない。
そうしていながら、彼女はいつも決まった傭兵のテントに潜り込む。
倍給傭兵、危険な最前列で戦う代わりに倍の報酬を受け取っている、グスタフ。
彼が色々な意味で上客であり、エッダにとって居心地のいい場所でもあったからだ。
だが、そのグスタフが、死を覚悟するような戦場に送り込まれることになった。
思わぬ事態に呆然とするエッダ。
そんな彼女へと、グスタフは告げる。
「俺はお前に惚れている」と。
思わぬ言葉にエッダは動揺し、それでも「必ず帰ってくると約束して」と求める。
翌日、グスタフは戦場へと出立した。
果たして二人の約束は果たされるのか、それとも……。

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