ほぼ存在しない俺を、学園の姫だけは見つける

著者:さーど

 俺は江波戸蓮(えばとれん)、ほぼ存在しない高校1年だ。

 影は絶望的に薄い、名前は知られていない。
 そんな俺は、土砂降りの雨の中傘もささずに突っ立っている学園の「姫」を見つけた。
 さすがに目に悪い、声をかけてもどうせ気づかれないだろうし、幸い雨具を着ている。
 俺は姫の手に傘を押し付け走った。

 まあどうせ、俺の存在なんて気づかれちゃいない。
 急に落ちてきた傘だと思って、今後こいつと関わることは一生ないだろう。
 そう思ってたんだけどな、その時は。

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