千東風子の小説一覧

小説家になろう

父が死んだ

山もオチも無い、私の気持ちの整理整頓のための話です。 実体験を元にしていますが、そのままではないので、架空の「私」です。 縁の薄かった父が死んだ。 それにまつわり、思ったことが主になります。 何の話とも繋がっていない、短編です。 ....
著者 : 千東風子
小説家になろう

失ったものと得たものと ~ 萱野 唯 ~

 さて。  私の今の状況を説明するといたしましょう。  私はユイといいます。  高校三年になったばかりのある日、日本からこの世界の東の国に落っこちてきました。  落ちたと言っても、路地を曲がったら、そこにあるはずのコンビニはなく、見たこともない森だったのですが。  ビザまん、食べたくて出かけた....
著者 : 千東風子
小説家になろう

前世、愚かな死に方をした友には今世は幸せに笑っていてほしいから、全力でヤツをヤろうと思います。

 さあどうぞ入っていらして。  ビビ・マイヤー殿。  忙しいところ呼び立てに応じていただき感謝いたしますわ。  ……あら、いかがいたしましたの? お顔がひきつっていましてよ? なんで完全装備? 魔力も満タン?  ふふ、おかしなことを。ここは黒の森の境の地、ましてや魔物たちが森から溢れると予言さ....
著者 : 千東風子
小説家になろう

前世、妻は他の男のために死んだ。今世、生まれ変わった前世の妻は自分の所為で死んだ。解放してやりたかっただけなのに、もう嫌だ、もうたくさんだ。

 今でも夢に見る。  迫り来る魔物たちを切っては捨て切っては捨て、魔力は空になり、剣はすでに血と油で切れず、力任せで叩き潰すように魔物を殺している自分。  黒の森から溢れ出てくる魔物たちとの戦いの日々。  少しずつ前線は後退し、森境の町をひとつ捨て、荒野に布陣していた。  北の国で黒の森....
著者 : 千東風子
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怒りの侍女ビルケ

私の名前はビルケ。 この国の北に領地があるシェレファ子爵家の長女です。 国境に位置する我が領地は、冬が長くて気候の厳しい土地ですが、根菜類の栽培に適しており、人口よりも多いのではないかと常々思っている羊たちの恵みのおかげで、なんとか領民を飢えさせることなく暮らしています。 やがて、王宮で....
著者 : 千東風子
小説家になろう

前世、婚約者に嫌われ抜いて死んだ私が生まれ変わって彼の側にいるようになるまでの話。

 ド・ストライク。  フクフクだったほっぺは見る影もなく、真一文字に結ばれた唇。表情筋が活動を放棄した顔。  キラキラ輝いていた瞳は、遠目でも分かるほど陰を帯びている。  戦う男としては細い部類だろうが、猫科のようなしなやかさを連想させる身体。  馬の背で背筋を伸ばし、まっすぐと前だけを見つめ、....
著者 : 千東風子
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当て馬にも心がある

「あー……気持ち良い」  泉に足をつけるなんで、ちょっと前では考えられなかったわ。  家庭教師が見たら目を剥いて卒倒するかも。  以前なら、デイドレスをきっちり着て、遠くから日傘をさして、綺麗な泉ね、と微笑んで見るのが精一杯。  こんなことして良いかしら……ちょっとドキドキしながら、周りに誰....
著者 : 千東風子
小説家になろう

前世、婚約者のために死んだ私に婚約者が言った最後の言葉は「愛しているのはお前じゃない」でした。

 まあ、そういうことがありまして。  え、わかんない? そりゃそうですよね。  とりあえず、私も自分の気持ちを整理したいので、ちょっと聞いてくれます? 向かいに座ったのも何かの縁でしょうし?  私には前世の記憶がありまして……あら、あまり驚かないのですね? 珍しくもないのですか? あなたの国....
著者 : 千東風子