グレイトフル

著者:愚者

少年の世界には、転生者と呼ばれる者達がいる。

一人は元の世界で絶命し神に新しい命を授けられ、一人はコンビニからの帰宅時に気付けば迷い込んでいたなど、理由は様々だ。

しかしてそのどれもが例に漏れず、世界の住人から羨望の眼差しを向けられる程の能力を有し、生誕する。

少年は思う、神は”クソ野郎”だと。

転生者は能力を使い、多様な生き方をする。

一人は魔王を討ち滅ぼし世界の住人から勇者と敬われ、一人は気に入らない物事をその能力で踏み潰し世界の住人から畏怖される。

しかしてそのどれもが己の好きなように道を行き、自己の世界を構築していく。

少年は思う、転生者は他人から与えられた玩具で他人の土地を遊び場にするクソガキ以下の”ムシケラ”だと。

何が元の世界で間違って死んでしまっただ、何が君を気に入ったからと能力を与え新しい世界で好きに生きろだ、何が魔王を倒す為に君の力が必要だ。

そのどれもを少年は不快に思い、嫌悪した。

少年は思う、この世界の事はこの世界の奴等がどうにかすべき事だと。

神の気紛れでこの世界は混乱しあるべき姿を見失っている。

故に少年は想う、いつか必ず”転生者(ムシケラ)を駆除してやる”と。

レビュー