タキオン・ソード ~朴念仁が欲した最強剣とお姫様のたわわな果実~

「ちょっと運命的かもとか無駄にときめいたこのあたしの感動は見事に粉砕よッ」

 琥珀の瞳に涙を浮かべて言い放つ少女の声が、彼の鼓膜を打つ。
 
 彼は剣士であり傭兵だ。名はダーンという。
 アテネ王国の傭兵隊に所属し、現在は、国王陛下の勅命を受けて任務中だった。その任務の一つ、『消息を絶った同盟国要人の発見保護』を、ここで達成しようとしているのだが……。
 ここに至るまで紆余曲折あって、出発時にいた仲間達と別れてダーンの単独行動となった矢先に、それは起こった。
 魔物に襲われているところを咄嗟に助けたと思った対象がまさか、探していた人物とは……というよりも、女とは思わなかった。

 後悔と右頬に残るヒリヒリした痛みよりも、重厚な存在感として左手に残るあり得ない程の柔らかな感覚。
 目の前には、視線を向けるだけでも気恥ずかしくなる程の美しさ。

――というか凄く柔らかかった。

 女性の機微は全く通じず、いつもどこか冷めているような男、アテネ一の朴念仁と謳われた剣士、ダーン。
 世界最大の王国の至宝と謳われるが、その可憐さとは裏腹にどこか素直になれない少女ステフ。
 理力文明の最盛期、二人が出会ったその日から、彼らの世界は大きく変化し、あらゆる世界の思惑と絡んで時代の濁流に呑み込まれていく。

 時折、ちょっと……いや、かなりエッチな恋愛ファンタジー。
 

レビュー