【短編】婚約破棄された侯爵令嬢は落とし前をつける。拳で。

著者:坂東太郎

「アーデルハイト・ファオスト侯爵令嬢! 貴方との婚約を破棄する!」。貴族学園の卒業パーティにしてデビュタントの夜会で、婚約者であるルートヴィヒ王子からそう告げられた侯爵令嬢のアーデルハイトは大人しく婚約破棄を受け入れる——ことはなかった。アーデルハイトは、王子に手袋を投げつける。「私が潔白だと証明しましょう。決闘裁判で」。決闘裁判とは、おたがいの主張が違う時に行われ、『勝者が正しい』とされる裁判だ。お淑やかな侯爵令嬢アーデルハイトは、王子と側近二人、聖女、四対一で決闘を行うことになる。だが、王子たちは知らない。淑女らしく振る舞うために人前で見せないだけで、アーデルハイトには天賦の才能があったことを。
「貴族としての矜持と乙女の誇りが傷つけられました。恥を雪ぎたく存じます。私の、この拳で」

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