『ノエル、あなたを殺すわよ』
私――平民出身のノエル・ハーパーは、イーサン王子からの求婚に踏ん切りがつかないままでいた。理由は親友であった公爵令嬢アレクシアの亡霊。半年前、彼女は彼女ではなく、私を見初めてしまったイーサン王子に裏切られ、失意のあまり自殺した。その後、アレクシア様は私にべったりと取り憑き、四六時中私にこう言うのだ――『ノエル、あなたを殺すわ』と。
親友であったアレクシア様を裏切った自分が、イーサン王子と幸せになることはできない――そう考えて求婚をはぐらかし続ける私だったが、婚約者を死なせてしまったことを激しく後悔し、日々弱っていく彼を放っておけず、私はついに求婚を受ける決断をする。
だが、その前に私にはつけなければいけないケジメがあった。それは――私の背後で『あなたを殺すわ』と恨みの言葉を吐き続けるアレクシア様の亡霊に赦しを請い、彼女が望むなら、彼女の思い通りに取り殺されることだった。
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