「愛する人が私にはいる。だから、君との婚姻は時がくれば破棄する。短期間でも侯爵家に嫁げるのだ。文句はないだろう?」
それが、私の夫となる人の第一声だった。
自分の価値なんてその程度だと知っていたはずなのに、どうしてか少し涙が出そうになる。
それでも彼は、実家から離れさせてくれた人なのだ。
だから、例え私を憎んでいても、恩は返さなくてはならない。
……そう決意してから三年、彼が想い人を強引に家に迎えたことで、半ば追い出されるように、私の契約結婚は終わった。
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