償いの令嬢は、許される日をただ待っている

著者:一ノ谷鈴

 男爵令嬢ハリエットは、七年前に罪を犯した。それはとてもささいな、とうてい裁かれることなどない罪だったが、彼女はずっとそのことを悔やんでいた。だから彼女は、ずっと人知れず償ってきた。彼女の家に仕えている幼なじみの騎士、ケヴィンに。
 そんなある日、ハリエットに縁談が舞い込んでくる。お相手は年上の子爵で、家の格も、相手の人柄も、悪くないように思えた。それにこの家を出れば、もうケヴィンへの償いを終わらせることができる。自ら決めたこととはいえ、いつ終わるとも知れない償いの日々に、ハリエットは疲れを感じていたのだった。
 彼女はためらいつつも、子爵のもとに嫁ごうと決意する。しかしその話を聞いたケヴィンは、思いもかけない行動に出るのだった。

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