十秒後呪いが解けた王城は阿鼻叫喚になった

著者:真昼

君の真っ直ぐな髪が、悲しい時に抱きしめてくれた腕が、表情の変わりにくい容貌が、それでも愛しいものを見た時緩む眼が、堪えきれないように笑う口元が、光の鳥や花冠を作ってくれた手が、本を読むのが速い所が、嘘を吐かない所が、涙も悲しみも一人で耐えて分けてくれない所が、誰よりも優しい所が、何度も助けてくれた正しさが、どれだけ傷付けられても笑って許してしまう強さが、爪の無い指先が、あの子を見る度に祈るように伏せられる瞼が、

ーーーずっとずっと、大嫌いだった話。

(誰も彼もに嫌われて、傷付けられて、婚約者には運命に出会ったからと捨てられました。それでも私は本当に、一度だって不幸ではなかったのです。
幸福の中で瞼を閉じる筈で、小瓶に唇を付けなければいけなかった。真実を知れば傷つく彼らと君の為に。けれど君に呼ばれて、その涙を拭いたいと、抱きしめたいと思ってしまった。それだけのエゴで、呪いで、愛の話)

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー