婚約破棄なんて言わせない

 この頃、貴族の間で婚約破棄が流行っていた。
 それの発端となったのが第二王子殿下が男爵令嬢と『真実の愛』を唱えて公爵令嬢に婚約破棄したこと。それからはもう、思春期貴族男子の中で婚約破棄が大盛り上がりで、被害に遭う令嬢たちが後を絶たない。
 ……令嬢たちは、いかにして婚約破棄を阻止するかということで頭を悩ませていた。
 かくいう私もその一人。ある日、婚約者に婚約破棄されそうになった私は、前々から考えていた婚約破棄阻止方法を実行する。
 それはズバリ――――宣言させないように相手の口を塞ぐという方法だった。

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