至らぬ妻なので国へ帰らせて頂きますと、辺境伯夫人は突然ドレスの裾を翻し、客人達の前から消え去った。残された者達の終幕は……

 二年に及ぶ世界大戦がようやく終了した。
 そして久し振りに開かれた辺境伯のパーティーの中盤で、主催者の妻が、夫と招待客達に向かってこう言った。
 
「皆様にはこれまで色々とご迷惑をおかけしましたことを、心からお詫び申し上げます。
 至らぬ妻で誠に申し訳ありませんでした。今日この時をもって私は身を引かせて頂こうと思います」
 
 夫人は彼らに見事なカーテシーをすると、唖然とする人達を残し、さっと身を翻してホールから出て行った。
 
 残された人々は唖然してそれを見送った。
 ようやく戦争が終わったというのに、真の苦しみはこの後やって来ることを、この時は誰も知らなかった。そう、残された夫以外には……
 
 あくまでも異世界の話であり、特定の国をモデルにしているわけではありません。国の在り方、制度も創作です。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー