妹と二人で歩いてるところをクラスメイトの氷の女王に目撃された翌日から、氷の女王の様子がおかしいんだが?

著者:間咲正樹

「く、櫛崎(くしざき)さん、おはよう!」
「…………」
「嗚呼櫛崎さん、今日もお肌がスベスベで見蕩れちゃうわ!」
「…………」

 氷の女王こと櫛崎さんは、今日も男女問わずクラスの人気者だ。
 辞書の『傾国の美女』の欄に載っててもおかしくないくらいの絶対的な美貌を持っている櫛崎さんなので、さもありなんといったところではあるが。
 だが櫛崎さんはそんなクラスメイトたちに対して、いつも通り無表情のガンスルーを決め込んでいる。
 にもかかわらずみんな「櫛崎さんはそうでなくっちゃ!」とか「嗚呼、櫛崎さんの射抜くような冷たい瞳、素敵……」と、恍惚とした表情を浮かべている。
 うちのクラスにはドMしかいないのだろうか?
 まあ、俺は至ってノーマルなので、冷たく無視されるとわかっていて挨拶をする気概はない。
 なので隣の席に座った櫛崎さんのことも、一瞥するだけですぐスマホに目線を戻した。
 ――が、

「…………」
「――!?」

 何故かそんな俺のことを、今日も櫛崎さんは無言でギロリと睨みつけてきたのである。
 またオレ何かやっちゃいました??

 てなことがあった週末の日曜日。
 妹のみちるに半ば無理矢理買い物に付き合わされ、二人で街中を歩いていると、偶然櫛崎さんと出くわした俺たち。
 が、何故か櫛崎さんは俺たち二人を見て、絶望にまみれたような顔をし……!?

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