「エリシア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」 と宣言した直後に、殿下が毒殺された!? いったい犯人は……!?

著者:間咲正樹

「エリシア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「――!」

 貴族学園内で開かれている、ダンスパーティーの最中。
 私の婚約者であり、我が国の王太子殿下でもあらせられるナイトハルト殿下が、唐突にそう宣言した。
 そ、そんな……!

「このような場でご冗談はおやめください殿下。みなさん困惑されているではありませんか」

 この場にいる生徒や教師たちが、何事かとこちらを窺っている。

「もちろん冗談などではないさ、エリシア。君には本当に申し訳ないとは思っている。――だが僕は、もう自分の気持ちに噓はつけない! 僕は、真実の愛に目覚めてしまったんだ!」
「……!」

 真実の、愛……?
 三文芝居に出てくるような陳腐な台詞に、思わず眉間に皺が寄る。
 あなた様は、ご自分の立場がわかっておられないんですか?
 いずれこの国を一身に背負う立場でありながら、自由な恋愛が許されるとでも?

「うふふ」
「……なっ」

 ナイトハルト殿下の隣に、不敵な笑みを浮かべながら、一人の女性が立った。
 ――それは私の親友である、男爵令嬢のマーガレットだった。
 まさか、殿下の真実の愛の相手というのは――!

「――ガハッ」
「「「――!!!」」」

 その時だった。
 あまりの光景に、私は自分の目を疑った。
 殿下が突如吐血し、その場に崩れ落ちたのである――。

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