ギルベルトは屋敷の廊下を一人で歩いていた。護衛の任務に就いていた時のルーティンであり今はすでにその任を外されて、護衛対象であった元王太子妃、エーリカとは夫婦関係にある。
しかしギルベルトは、愛していた王太子ハーロルトを早くに失くしたエーリカに、自分を愛してほしいとは思っていない。
王室に入ってたくさんの苦労をして、まるでいい所のない男を必死で愛した彼女にこれ以上無理をさせたくない。
そういう思いで、結婚してからも護衛らしく振舞い、エーリカとは距離を置いていた。
けれども、最後に見回る彼女の部屋の扉が今日は開いていて、エーリカはそのギルベルトの心持ちについて少し話をしようといい部屋に招き入れた。
そして、ハーロルトを殺したのは自分だと語り始めるのだった。
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