「ユーリカ……、どうか、私の愛を受け止めて欲しい」
何を言ってるんだこの方は? という言葉を辛うじて飲み込んだユーリカ・クレメンス辺境伯令嬢は、頭がどうかしたとしか思えないディーノ・ウォルフォード王太子殿下をまじまじと見た。見つめた訳じゃない、ただ、見た。
何か否定する事を言えば不敬罪にあたるかもしれない。第一愛を囁かれるような関係では無いのだ。同じ生徒会の生徒会長と副会長、それ以外はクラスも違う。
そして何より……。
「殿下。殿下には婚約者がいらっしゃいますでしょう?」
こんな浮気な男に見染められたくもなければ、あと一年後には揃って社交界デビューする貴族社会で下手に女の敵を作りたくもない!
誰でもいいから助けて欲しい!
そんな願いを聞き届けたのか、ふたりきりだった生徒会室の扉が開く。現れたのは……嫌味眼鏡で(こっそり)通称が通っている経理兼書記のバルティ・マッケンジー公爵子息で。
「おや、まぁ、……何やら面白いことになっていますね? 失礼致しました」
助けないんかい!!
あー、どうしてこうなった!
嫌味眼鏡は今頃新聞部にこのネタを売りに行ったはずだ。
殿下、とりあえずは手をお離しください!
※アルファポリス様でも別名義で連載しています。
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