悪役令嬢は『萌え』を浴びるほど摂取したい!

レビュー(1件)
著者:烏丸紫明

悪役令嬢だろうとも、恋い焦がれた『画面の向こう』に――推しと同じ世界に転生できたのだから、推しを存分に愛でて、愛でて、愛でまくります!
同人活動に命をかけるほど好きだった、乙女ゲームの世界に転生した。
悪役令嬢? まったく問題ございません!
むしろ、平民でなくてよかったですわ! 溢れんばかりの財力を使って、推しを存分に愛でることができるので! 推しのATMになることができるので!
ですから、『勘当の上で国外追放』されては困りますので、ヒロインに意地悪は一切いたしませんが、我が国の第一皇子から『婚約破棄』はしていただかなくては。
なぜなら、推しと自分が結ばれる『夢展開』は、ガチで地雷ですので――。
『勘当』と『国外追放』を回避した上で、『婚約破棄』は果たして、平和に『元・婚約者』の『推し』を愛でたい。
『煩悩』という名の『野望』を抱く『悪役令嬢』の痛快ラブコメディ―!…続きを読む

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レビュー

  1. はるかぜ より:

    現代日本で生きていたアラサー腐女子の主人公は信号無視したトラックにはねられ突如として人気乙女ゲームの世界に転移し、悪役侯爵令嬢・レティーツィアに憑依していた。
    これがゲーム内の世界であり、時系列的に主人公が登場する前の段階であることそして主人公が婚約者候補であるリヒト王子を『攻略』の対象にすることで一年後に破滅することを知る彼女はレティーツィアとして最悪の結末を回避するべく動き始める――。

    ルート分岐前において庶民出身のヒロインであるマリナがリヒトに無礼を働いただけでなく(いくら庶民出身とはいえ、王族に対して取るべきではない行動が何かが理解できていないのはあまりに不自然である)、レティーツィアに敵意を隠さず、日に日に攻略対象たちのマリナに対する印象が悪くなっていくというゲームシナリオには無かった行動を描くことで謎を提示していること、また、憑依後のレティーツィアは自身のポリシーにより『推し』であるリヒト王子は恋愛の対象ではなく、あくまで『第三者』として愛でる対象であることから、自身の破滅の回避と同時にリヒトと結婚するルートを回避しなければならないというもうひとつの『枷』があることを提示すること、そしてエリザベート・アルディという『同好の士』との邂逅によりゲーム本来のものとは異なる方向へ話を進ませることでこの作品ならではのストーリーが楽しめる。
    果たしてレティーツィアはグーテンベルクの夢を見るのか――。