本当はこうだった? ハイチとドミニカ ~どうしてここまで差がついた!?~

 俺は歴史好きの高校生、下田(しもだ)一郎(いちろう)!

「中国が尖閣諸島を狙ってる! 日本の水資源も奪ってるし、ホントひでえよな!
 あっちの大陸じゃ環境汚染も進んでるし、やりたい放題だなあの国は!」

 ……なーんて話をクールな幼馴染・莉央(りお)ちゃんとしていたのに、今回のタイムスリップ先は中国ではなかった。

「えーと……ここどこ?」
「イスパニョーラ島です。中南米はカリブ海――現在ではハイチとドミニカと呼ばれる国ですね」

 一体なんだってまた、中南米の島なんかに!?

「多分、環境汚染がどうとか話していたせいじゃないですか?
 西のハイチはとっても貧しい国で、クソ野郎の独裁者に支配されていました。逆に東のドミニカは経済発展しましたね」
「へー。そうなんか……じゃあドミニカはきっと、民主的で自由な経済を推し進めていったんだな?」
「……いいえ。ドミニカの支配者も、まごうことなきクソ野郎の独裁者でした」
「マジでどういう事だってばよ!?」

 意味が分からねえ。同じクソ野郎の独裁者が支配してたのに、どうしてここまで差がついちまったんだ!?
 いまいちマイナー感のあるドミニカ共和国だが、その歴史を知れば環境問題の何たるかが理解できる、とは莉央ちゃん談。果たして……?

 短編シリーズ「莉央ちゃんとタイムスリップ!」第七弾。

※参考文献:「文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの」 ジャレド・ダイアモンド/著 楡井浩一/訳(草思社)

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