結婚初日に「君を愛することはない」と言った旦那様が、その直後テレパシーで『というのは嘘で、俺は君のことを心の底から愛している』と言ってきた!?

著者:間咲正樹

「シャルロッテ、俺が君を愛することはない。そのつもりでいてくれ」
「……はい。承知いたしました」

 数え切れないほどの使用人たちに囲まれる中、今日から夫となるラインハルト様に、氷のように冷たい眼でそう言われた。
 半ば予想していたこととはいえ、面と向かって言われると心に鉛を付けられたような感覚になる。
 やはりラインハルト様は、お飾り妻を欲していただけだったのだわ。
 『氷の貴公子』と名高い、美貌と名声を兼ね備えたラインハルト・アイヒベルガー侯爵閣下が、私みたいな下級貴族の娘を妻に娶ろうだなんて、おかしいと思った。
 女として、一人の男から愛されたいというささやかな夢も、今日で終わったのね……。

『というのは嘘で、俺は君のことを心の底から愛している』
「――!?」

 その時だった。
 私の頭の中に、ラインハルト様の声が直接響いてきた。
 これは――!?

『くれぐれも表情は変えないでくれ。周りの人間に俺たちがテレパスだということがバレたら、お互いの命が危ないんだ』
『っ! は、はい』

 必死に平静を装いながら、テレパシーで返事をする。
 まさかラインハルト様もテレパスだったなんて……。

※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です
本サービスは株式会社ヒナプロジェクトが提供するものではありません

レビュー