「シンシア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「――!」
国中の貴族が集う華やかな夜会の最中。
公爵令嬢のシンシアは、婚約者のセドリック王太子殿下から、唐突に婚約破棄されてしまう。
セドリックはシンシアが男爵令嬢のブレンダを階段から突き落としたことを理由に、婚約を破棄してきたのだ。
だがそれはまったくの濡れ衣。
自分は無実だと弁解するシンシアだったが、セドリックは一切聞く耳を持ってくれない。
途方に暮れて一人会場を後にするシンシア。
するとそこに――。
「ウェーイ、どしたん彼女? 元気ないじゃん」
「っ!」
胸元をザックリ開け、身体中にジャラジャラと装飾品をつけた、いかにも軽薄そうな男が声を掛けてきた。
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