異世界にチュートリアルなんてありません! ~少年が転生したのはハードルがどんどん高くなる世界でした~

《二十一世紀の日本で最強の殺し屋》を自称する少年、白河 光輝(しらかわ こうき)が
死後に辿り着いたのは、ヴァルハラと呼ばれる場所だった。

ここにはあらゆる世界で、死を遂げた者が集められていた。
騎士・魔導士・賢者・巫女等々。様々な道で、卓越した力を持つ英傑達である。

彼らは数人ずつのチームに分かれ、デスゲームを果てなく繰り返す。

光輝もひとつのチームに編入され、デスゲームへの参加を余儀なくされる。
しかし、壊滅的なチームワークのなさに加えて、彼の無気力さも手伝い結果は連戦連敗。
ヴァルハラで最低ランクのチームに成り果ててしまった。

この状況を憂いだヴァルハラの管理者ハーディンは、一計を案じる。
光輝をチームリーダーに抜擢、更に彼のチームを実戦部隊に格上げしたのだ。

実戦部隊はヴァルハラの中でもエリート的存在。
その存在意義は「神たる存在の勅命を受け、人々に直接的な救いをもたらす」事にある。
つまり、今までのゲーム感覚のミッションではなく、ミスの許されない過酷な任務が
課せられる事になるのだ。

光輝が意外にも責任感が強いという性格を見抜いての、ハーディンの策略だった。

「ダメチームに任務を与えるはずがない」
「便宜上だけで、ただの手綱締めに過ぎない」
 
そんな楽観的にとらえようとした矢先、ハーディンから出撃命令が下る。
人手不足のヴァルハラでは、そんな生易しい現実なんてなかったのだ。

初ミッションは「音信不通になった町の調査」
到着した光輝のチームは町に立ち入った直後、謎の結界で閉じ込められてしまう。
しかも謎のモンスターまでもが現れる。すべては光輝達を討ち取るための罠だったのだ。
なんとか耐え凌ぐ光輝達だったが、執拗を極める攻撃に段々と追い詰められていく。

「普通、初任務はチュートリアルだろっが!」
光輝達は逆境を打ち破り、無事にヴァルハラの館に帰還できるのか?

時にコミカル、時にシリアス。そしてちょっぴり切ないバトルファンタジー。

※「集英社ライトノベル新人賞」一次選考通過作品を改題・改稿したものです

レビュー